メタボリックシンドローム。アディポネクチンとは脂肪組織から分泌される。内臓肥満は病気です。
さかい医院
生活習慣病(高血圧・高脂血症・糖尿病など)循環器科・内科一般

院長:堺 浩之

tel:044-711-0081  住所:神奈川県川崎市中原区今井南町462-2

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メタボリックシンドロームとアディポネクチン
最近アディポネクチンという物質が発見され、研究が進んでいます。

脂肪組織は従来エネルギー貯蔵をすると考えられていました。

しかし、脂肪細胞から分泌される物質があり、重要な物質であることがわかりつつあります。

アディポネクチンは肥満細胞から分泌

脂肪細胞からはアディポネクチン、レプチン、PAI-1、TNF-α、遊離脂肪酸、アンジオテンシノーゲンなどの様々な因子を産生・分泌し、糖・脂質代謝、動脈壁の恒常性維持に重要な役割を果たしていることがわかりつつあります。

アディポネクチンは、健常成人においても5〜10μg/mlの濃度で血中に存在します。これはインスリンやレプチンなど、通常のホルモン濃度の約1000倍と高濃度に存在しています。

アディポネクチンの作用

アディポネクチンは脂肪組織から分泌される蛋白(ホルモン)で、インスリン感受性を高める抗糖尿病作用と、血管内皮細胞障害の修復作用によって抗動脈硬化作用を持っている善玉物質です、。主に筋肉や肝臓で脂肪を燃焼させる作用を有しているため、減少することで高血糖・コレステロールの上昇より血管内膜の肥厚から動脈硬化を進行させます。

またアディポネクチンが欠損したマウスの実験では高脂肪食を負荷することで、正常のマウスと比べて著明な耐糖能異常が起こります。この耐糖能異常はアディポネクチンを投与することで改善します。

血中アディポネクチン値は、標準的な体格の人の血液中に多く存在し、肥満を来す生活習慣(高脂肪食・運動不足など)によって脂肪細胞が肥大化するとアディポネクチンの分泌が低下します。内臓脂肪が増加するとさらに減少することがわかっています。また減量によってアディポネクチンは増加します。

日本人において、5人に1人はアディポネクチンが分泌されにくい(少ない)と言われています。食事の欧米化+文明発達による運動不足により、低アディポネクチン血症となり、糖尿病・高脂血症・高血圧・心疾患の増加に直接関係しているものと考えられています。

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メタボリック症候群の根本的治療法開発につながる可能性

体内でアディポネクチンと結合する2種類の受容体を作れないマウスを使用して、血糖値の変化やインスリン抵抗性を調べた研究が発表されました。その結果、受容体を欠いたマウスでは、糖尿病を防ぐ作用が消失することが分かりました。一方で肥満マウスの肝臓で受容体の遺伝子発現を上昇させる(数が増える)と、糖尿病が改善したそうです。この結果から、受容体とアディポネクチンが結びつくことで、血糖制御や脂肪代謝、インスリン抵抗性を改善させると報告しています。

2種類の受容体と同じように働く治療薬の開発されれば、遺伝的要因と環境(生活習慣)要因、同時に効果があるメタボリックシンドロームの根本的治療につながる薬となると考えられています。

ただし、生活習慣に関しては自分で改善することは可能であり、少なくとも病気を進行させることは最小限に食い止めることが出来ます。いずれにしても薬よりも食生活や運動量などの生活習慣を見直す必要があります。

ただ、アディポネクチンでも小型のものは悪玉の作用があるそうです。アディポネクチンは脂肪細胞から分泌され、筋肉や肝臓では脂肪の燃焼を促し、血糖値を下げるインスリンの効きを助けます。肥満の場合は分泌量が減り、脂肪が燃えにくくなるためメタボリックシンドロームと関連があります。

このアディポネクチンでも小型のものは食欲の増進や脂肪の蓄積を促す“悪玉”の作用があることがわかりました。

アディポネクチンが胃がん(胃癌)と関係あり
メタボリックシンドロームで胃がんの危険も高くなることが報告されました。

以前より塩分と胃がんの関係は報告されていますが、アディポネクチンに抗がん作用があり、胃ガンのマウスにアディポネクチンを投与すると腫瘍が減少すると報告されています。胃胃癌細胞と結合しやすく、結合するとガン細胞が破壊されるとのことです。

乳ガンや子宮癌と内臓脂肪の関係も指摘されており、各種悪性腫瘍も生活習慣と関係があるかもしれません。今後の研究・報告に期待が高まっています。

アディポネクチン・抗老化作用・アンチエイジング
一方でBMIが同程度(19.5)で100歳を超える人と若年者を比較すると、アディポネクチンの濃度が2倍高いとの報告もあります。アディポネクチンが抗炎症作用、抗糖尿病作用を持っているため、抗老化に関係している可能性があり、アディポネクチンが減少する肥満は老化を早める可能性があり、注意が必要です。アディポネクチンが増加するように肥満を解消することが抗老化・アンチエイジングとなります。

レプチンと肥満の関係
食欲を左右するホルモンの一つです。体内の脂肪量を一定量に保っています。過食によって脂肪細胞が大きくなり、レプチンの量が増加すると、脳の視床下部へ作用して食事を抑えるように働きます。一方で体をつかってエネルギーを消費するように交感神経を活発に働かせたり、褐色脂肪組織へ作用して、エネルギー代謝の増大を促すとされています。

しかし、視覚・嗅覚などが発達しているため、この脳への刺激のみで食欲をコントロールすることは出来ません。このため、満腹でも食べ過ぎてしまうわけです。

ネスファチン1
食欲を抑える脳内物質が新たに発見されました。上述のレプチンは肥満によって抵抗性が出て効かなくなりますが、今回発見された「ネスファチン1」はこのような変化はありません。

脳の視床下部の神経細胞質に存在している強い食欲抑制作用を示すタンパク質です。

研究では、「ラットの脳に10日間、継続して投与すると摂食が抑制され、体重、皮下脂肪、内臓脂肪ともに減少した。筋肉量は減らなかった。逆に中和抗体を与え、この物質が働かなくすると、摂食量は増えた。」とのことです。

メタボリックシンドロームを中心として肥満に悩む方が多く、治療への応用が期待されています。